NEIL ZAZA JAPAN TOUR
- Ash
- 2015年10月24日
- 読了時間: 5分
ニール・ザザ ライブレポート 2015.10.24(土)大阪 心斎橋BASSO
2015 年10 月24 日、ニール・ザザのソロ初の日本公演初日が大阪で幕を開けた。17:30 開演の予定だったが、ニールが乗る飛行機の遅延や会場でのセッティング時の問題(「ニー ルのbacking track が無い。」と外国人スタッフと日本人スタッフが遠くで揉めていた。)で 19 時前の開場となった。3組のオープニング・アクトの後、ニール・ザザのステージが始 まった頃には、手元の時計はもう21:30 過ぎを指していた。
それまでの長時間のスタンディングで観客はかなり疲れていたが、舞台に立ったニール 自身にも若干疲れの色が見られた。オープニング曲は”Watertown”。国内ではわずか数日前 にリリースされたばかりの新作”Peach”からの1 曲だ。初めての来日の最初の1 曲目に新曲 を入れてくるとは。彼の新作に対する自信を感じられた。明るくキャッチーなメロディに ポップなテンポ。詰めかけたファンはオープニング曲を演奏し終えたギタリストに熱い歓 声を浴びせた。新曲の出来栄えに対するものでもあり、待ち続けたギタリストに対するエ ールにも感じた。
拍手がまだ鳴り止まない早いタイミングで、次の”Magnus 212”と”Go!”のメドレーが続く。 アルバム”212”からの人気曲で、ニールの近年のライブでも頻繁に演奏される2 曲 だ。”Magnus 212”の後半からラストにかけては高速スウィープが繰り出される。その最中、 観客から何度も大きな声が上がった。”Go!”のイントロが流れ出した頃には観客はノリノリ で、疾走感溢れる曲のイントロに掛け声を合わせていた。
その後新曲のドライブ感溢れる”Bari”が披露される。この日は開演時間のずれ込みの影響 もあり演奏されなかったが、他のファンと共に公演後に見せてもらった手書きのセットリ ストには新曲” The Looking Glass”も入っていた。改めてニール・ザザが新作アルバムに対 して強い思いを持っていることを感じた。
“Melodia”が続き、そしてカポを装着し”Fargo”がプレイされた。”Fargo”はニールの代表 曲”I’m Alright”と同じく、クライスラー社のCM で使用された曲である。アップテンポな 曲中に、ベートーベンの『歓喜の歌』のクラシカルな要素が取り入れられているのもこの 曲の特徴である。
そして” Cherry Lane”、” Turn the World Around”と新作の2 曲が続けて披露され、アル バム”212”からの” Wild Horses”がそれに続く。
” Tobaber”のクリーン系のイントロが流れてきたのが、その後だった。この曲は1993 年 頃にリリースされた2 枚目のアルバム” Thrills & Chills”からの1 曲だ。この曲はサビで一 気に情感が溢れトーンも変わるのだが、このパートの一部は恐らくニール・ザザが影響を 受けたと語るギタリストの1 人、ニール・ショーンがジャーニーでプレイした”Still They Ride”のギター・ソロから取り入れているように思えた。どちらも長いサスティンの美しい 旋律だ。その後にこれも新曲” Somewhere in Time”が続く。
個人的に好きな曲の1 つである”This Time”のイントロBGM がその後に流れた時には、 心がときめいた。この度のツアーではBGM だけではなく近年共に活動するWalter Cerasani(bass)と Enrico Cianciusi(drums)の2 人従えたバンド編成で、よりライブ感を重 視していた。一部アクシデントがあったが、それに動じずに曲をまとめ上げたギタリスト に、会場は沸いた。その声にニールは「聞こえるよ。」と言わんばかりに手を耳に近付ける ジェスチャーで答えた。
その後切ない音色の”Adagio Intro”が演奏される。続いて本編の”Adagio”となるかと思っ たが、続いたのは” Beethoven's Fifth Symphony”(ベートーベンの通称『運命』のニール・ ザザがテクニカルにアレンジしたバージョン)だった。実はニール・ザザは本国アメリカで 12 月になると、クリスマスの定番曲をアレンジしたコンサートを毎年開催している。その 際にこの曲が演奏されることがあるようだが、個人的にはそのままメロディの流れを汲ん で”Adagio”に続いて欲しかった。
ライブも終盤に入り、”In My Dreams”のイントロが流れてきた。アルバム” When Gravity Fails”に収録されたこの曲には、その後同曲のスタジオ収録時の生音源に近いバー ジョンも別アルバム” Clyde the Cat”の終盤に収録されている。そしてその時と同様に、生 演奏のこの場でも彼のギターは泣きに泣いた。
そして今まで出し惜しみをしていたように、とある曲のイントロを弾き始める。その曲 を察知した観客からは今までよりも更に大きな声が上がる。じらすようにスローなペース でその曲のパートを弾き終わる度に、客席から大きな声援が上がる。そしてニールが手を 挙げ本編スタートの合図。”I’m Alright”が始まった。客席のボルテージは最高潮に達した。 演奏中にニール自身も叫び、観客もそれに応える。今日一番の彼の笑顔が出ていたように 見えた。その時の彼の美しいトーンは未だに脳裏に焼き付いている。
“I’m Alright”直後に聞いたことがあるメロディが流れてきた。ニール・ザザの母国アメリ カ合衆国国歌、”The National Anthem”だ。序盤演奏しながら何度も敬礼をしたニールは愛 国心を覗かせた。前作に収録されたこの曲でも、ニール・ザザのメロディアスなアレンジ が随所にちりばめられていた。演奏後しゃがみ込みながら感謝の意を示すニールへ、多く の観客からThank you という言葉と共に熱い拍手が送られた。
一旦バック・ステージに戻ったものの、会場のファンの声援に応え戻ってきたニールは 最後に”Cinematic”を披露した。切なく、そして美しいトーンでライブを締めくくった。
公演当日の入国遅れやリハーサル時の問題等、ソロ初来日初日にトラブルが続いたニー ル・ザザ。しかしその影響を微塵も感じさせない圧倒的なプレイを目の前で見せつけられ た私は、「次のライブでは、もうこんな近い距離で見られないかもしれない」と大きな満足 感とは裏腹に一抹の寂しさを感じていた。
Set List 1. Watertown 2. Magnus 212 / Go! 3. Bari 4. Melodia 5. Fargo 6. Cherry Lane 7. Turn The World Around 8. Wild Horses 9. Tobaber / Somewhere In Time 10. This Time 11. Adagio Intro/ Beethoven's Fifth Symphony 12. In My Dreams 13. I’m Alright Intro / I'm Alright / National Anthem 14. (Encore)Cinematic */はメドレー


Comments